個別支援計画とは|児発管が作成し、現場が毎日参照する設計図
個別支援計画は、通ってくる子ども一人ひとりについて、どんな姿を目指し、そのために事業所が何をするのかを文書にしたものです。児童発達支援管理責任者(児発管)が作成することとされており、事業所はこの計画に沿って支援を提供します。
大切なのは、提出のための書類ではないという点です。現場が毎日の支援で参照する設計図にあたります。計画に書かれていない支援を続けていれば、支援の根拠を説明できません。逆に、計画に書いたことが記録に残っていなければ、実施したと示せません。計画・実践・記録の三つは、常にひと続きで見られます。
計画がないまま支援を行うとどうなるか
個別支援計画は、作成していないこと自体が報酬の減額につながります。単なる事務的な不備では済みません。作成・交付・記録の抜けは、そのまま事業所の収支に直結。
個別支援計画未作成減算で見られるのは、作ったかどうかだけではない
減算の対象になるのは、計画そのものが存在しない場合に限りません。次のような状態も対象になり得ます。
・保護者の同意を得た計画を、保護者や相談支援事業所へ交付していない
・モニタリングを実施した記録が残っていない
・作成や見直しの手続きを児発管以外が行っている
減算は該当する月から適用され、3か月未満は所定単位数の70/100、連続3か月以上で50/100。所定単位数は各種加算を足す前の基本報酬です。解消されるまで毎月効き続けるため、影響は小さくありません。
つまり、個別支援計画の書き方を整えることは、支援の質を上げる取り組みであると同時に、減算を出さないための実務でもあります。なお、この減算が効くのは事業所全体ではなく、該当する子どもごと。判定の中身と減算率の数え方は個別支援計画未作成減算|計画書があっても減算になる6つの落とし穴で詳しく整理しました。
この章の根拠(出典)
指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第27条第1項(放課後等デイサービスは第71条で準用)
指定児童発達支援事業所の管理者は、児童発達支援管理責任者に指定児童発達支援に係る通所支援計画(以下この条及び第五十四条第二項第二号において「児童発達支援計画」という。)の作成に関する業務を担当させるものとする。
費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について(留意事項通知)(7) 通所支援計画等未作成減算(PDF)
(一)減算が適用される月から3月未満の月については、所定単位数の100分の70とする。/(二)減算が適用される月から連続して3月以上の月については、所定単位数の100分の50とする。
令和6年度報酬改定で、書き方はどこが変わったか
令和6年度の報酬改定では、個別支援計画に盛り込む内容そのものが見直されました。従来の様式をそのまま使い回していると、要件を満たさない可能性があります。まず変更点から。
改定前後で押さえておきたい主な違い
| 観点 | これまで | 令和6年度以降 |
|---|---|---|
| 支援内容の示し方 | 事業所ごとの考え方で支援目標と内容を記載 | 本人支援の内容について、5領域とのつながりを計画上で明らかにする |
| 支援の時間 | 記載が求められていなかった | 基本報酬の時間区分に対応する計画時間を記載する |
| 延長支援 | 加算の算定要件として別途管理 | 延長して支援する時間を計画に位置づけて記載する |
| 交付先 | 主に保護者へ交付 | 保護者に加え、担当の指定障害児相談支援事業所にも交付する |
| 視点 | 事業所内での支援が中心 | 家族支援・移行支援・インクルージョンの視点を計画に含める |
5領域とは何を指すのか
5領域は、障害児支援において子どもの育ちを捉えるための区分です。個別支援計画では、本人支援として設定した内容と各領域とのつながりを示します。国の事務連絡は、5つの領域すべてが関連付けられるよう記載することを求めています。
- 健康・生活:生活リズム、食事や睡眠、身辺自立、健康状態の把握など
- 運動・感覚:姿勢や基本的な動作、手先の操作、感覚の受け止め方の調整など
- 認知・行動:物事の捉え方、注意の向け方、行動の調整、見通しを持つ力など
- 言語・コミュニケーション:意思の受け取りと伝え方、言葉や代替手段によるやりとりなど
- 人間関係・社会性:他者への関心、やりとりの積み重ね、集団の中での振る舞いなど
この章の根拠(出典)
指定通所基準 第27条第4項(個別支援計画の必須記載事項)(「第二十六条第四項に規定する領域」が5領域にあたる)
児童発達支援管理責任者は、アセスメント及び支援内容の検討結果に基づき、通所給付決定保護者及び障害児の生活に対する意向、障害児に対する総合的な支援目標及びその達成時期、生活全般の質を向上させるための課題、第二十六条第四項に規定する領域との関連性及びインクルージョンの観点を踏まえた指定児童発達支援の具体的内容、指定児童発達支援を提供する上での留意事項その他必要な事項を記載した児童発達支援計画の原案を作成しなければならない。
こども家庭庁「個別支援計画の記載のポイント」◎本人支援(PDF/令和6年5月20日事務連絡 別紙1。関連づけは5領域すべて、目標の数は揃えなくてよい)
5領域との関連性については、5つの領域全てが関連付けられるよう記載すること。相互に関連する部分、重なる部分もあると考えられるため、5つの欄を設けて、個々に異なる目標を設定する必要はないが、各領域との関連性についての記載は必ず行うこと。
児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画を作成した際には、当該児童発達支援計画を通所給付決定保護者及び当該通所給付決定保護者に対して指定障害児相談支援(略)を提供する者に交付しなければならない。
5つの目標を立てなさい、という意味ではない
よくある誤解が、5領域それぞれに目標を1つずつ立てなければならない、というもの。求められているのは支援内容と各領域とのつながりを示すことであり、目標の数を揃えることではありません。5つの欄を設けて個々に異なる目標を設定する必要はない、と事務連絡にも明記されています。
実際の支援は、ひとつの活動が複数の領域にまたがることがほとんど。順番を待って遊具を使う場面なら、人間関係・社会性と認知・行動の両方に関わります。ひとつの支援内容に複数の領域を紐づけて構いません。
5領域との関連づけを含んだ計画の下書きは、AIに任せることもできます。
作成から交付までの流れを7つの手順で整理する
個別支援計画は、書き始める前の段取りで出来が決まります。アセスメントが薄いまま様式に向かえば、どうしても抽象的な文章になる。まず全体の流れから確認します。
相談の受付(インテーク)
利用に至った経緯、困りごと、家庭の状況、通っている園や学校の様子を聞き取ります。ここで得た言葉が、後の「意向」欄でそのまま生きてきます。
アセスメント
面談だけでなく、実際の様子の観察、家庭や関係機関からの情報も合わせて、子どもの得意なこと・つまずいている場面・その背景を把握します。5領域の視点で整理しておくと、後の記載が楽になります。
原案の作成
児発管が、アセスメントの結果をもとに支援方針・目標・支援内容を組み立てます。この段階では現場に相談しながら、実行できる分量に収めることを意識します。
個別支援会議での検討
支援に関わる職員が集まり、原案を検討します。担当が一人で抱え込まず、複数の視点を入れることで、現場で実施できる計画に近づきます。会議の記録も残しておきます。
保護者への説明と同意
内容を説明し、納得を得たうえで同意(署名等)をいただきます。専門用語をそのまま読み上げず、家庭で見られる姿に置き換えて伝えると合意が得やすい。
交付
同意を得た計画を保護者へ交付します。あわせて、担当の指定障害児相談支援事業所にも交付します。交付した日付を控えておくと、後の確認が楽になります。
支援の実施とモニタリング
計画に沿って支援を行い、少なくとも6か月に1回以上、達成状況を振り返ります。結果は記録に残し、必要に応じて計画を見直します。
この章の根拠(出典)
指定通所基準 第27条第6項(説明と同意)(条文が求めているのは「文書による同意」。署名そのものを求める規定ではない)
児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成に当たっては、通所給付決定保護者及び障害児に対し、当該児童発達支援計画について説明し、文書によりその同意を得なければならない。
指定障害児通所支援事業者及びその従業者は、交付、説明、同意その他これらに類するもの(以下「交付等」という。)のうち、この府令の規定において書面で行うことが規定されている又は想定されるものについては、当該交付等の相手方の承諾を得て、(略)障害児の障害の特性に応じた適切な配慮をしつつ、書面に代えて、電磁的方法(略)によることができる。
児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成後、児童発達支援計画の実施状況の把握(略)を行うとともに、障害児について解決すべき課題を把握し、少なくとも六月に一回以上、児童発達支援計画の見直しを行い、必要に応じて、当該児童発達支援計画の変更を行うものとする。
同意をもらう前に支援を始めていませんか
利用開始を急ぐあまり、同意前にサービス提供が始まってしまう例は珍しくありません。手順の前後が入れ替わると、計画に基づく支援だと説明できなくなります。
初回は日程が詰まりがちです。契約の段取りを組む段階で、アセスメント → 会議 → 説明・同意 → 利用開始の日程を先に押さえておくと安全。
様式の全体像|どの欄が何を担当しているか
様式は自治体や事業所によって細部が異なりますが、担っている役割はおおむね共通です。書き始める前に欄どうしの関係を整理しておくと、迷いが減ります。
個別支援計画の主な欄と、その役割
| 欄 | 担当している役割 |
|---|---|
| 利用児及び家族の生活に対する意向 | 本人と家族が望んでいること。計画全体の出発点 |
| 総合的な支援の方針 | 1年程度を見据えた、事業所としての支援のスタンス |
| 長期目標 | 概ね1年で目指す姿 |
| 短期目標 | 概ね6か月で目指す姿 |
| 支援目標(本人支援・家族支援・移行支援・地域連携) | 次のモニタリング時点で到達していたい具体的な状態 |
| 支援内容 | 目標に向けて事業所が行う関わり・工夫 |
| 5領域との関連 | 本人支援の内容がどの領域に結びつくか |
| 達成時期 | その目標をいつまでに目指すか |
| 担当者・提供機関 | 誰が担当するか、どの機関と連携するか |
| 留意事項 | 加算との関係、家庭にお願いしたいこと、配慮点 |
| 優先順位 | 本人支援の中で、まず取り組むこと |
| 計画時間・延長支援時間 | 基本報酬の時間区分に対応する支援時間、延長する場合の時間 |
上から下へ意向 → 方針 → 長期目標 → 短期目標 → 支援目標 → 支援内容と、だんだん具体的になっていく構造です。逆に言えば、どこかの欄が浮いていると、この流れのどこかが切れているサインになります。

表の右側にある「達成時期」「担当者・提供機関」「留意事項」「優先順位」まで含めて1行がひとまとまりです。行は子どもの利用頻度や発達の程度に応じて増減して差し支えありません。
別表(支援時間・延長支援時間)
令和6年度改定で加わった計画時間と延長支援時間は、計画の本体に組み込むほかに、別表として添える形も認められています。国が示している別表の記入例は次のとおり。

本体と別表に分ける形も認められています
5領域との関連や支援時間の記載欄を、計画の本体に組み込む方法と、別表を添える方法のどちらでも差し支えありません。
既存の様式を大きく変えたくない場合は、別表を足すほうが現場の混乱が少なくて済みます。いずれの形をとる場合も、自治体が示す様式や指導の方針を必ず確認してください。
この章の根拠(出典)
指定通所支援の基準についての通知(解釈通知)(16)①(PDF/様式そのものは事業所ごとに定めてよい)
なお、児童発達支援計画の様式については、「児童発達支援ガイドライン」を参考にしつつ、各指定事業所で定めるもので差し支えない。
こども家庭庁「個別支援計画(参考記載例)」(PDF/令和6年5月20日事務連絡 別紙3)
こども家庭庁「個別支援計画別表(記入例)」(PDF/令和6年3月15日事務連絡 別紙2)
項目別の書き方|そのまま書き写せる文例
ここからは欄ごとに、何を書くのか・どう書くのかを文例つきで見ていきます。例文は5歳・児童発達支援利用の子どもを想定していますが、放課後等デイサービスでも考え方は同じ。
利用児及び家族の生活に対する意向
本人と家族が望んでいることを、聞き取った言葉に近い形で書きます。要約しすぎると、後から読んだ職員に温度が伝わりません。本人の意向は、年齢や発達の状況に応じて、言葉以外の表し方——表情、行動、選択の様子——からも汲み取ってください。
利用児及び家族の生活に対する意向
【本人】好きな電車の話をしているときは笑顔で話し続けられる。一方で、遊びを終える場面では「まだやる」と繰り返し、切り替えに時間がかかる。友達と一緒に遊びたい気持ちはあり、同じ場にいることを好んでいる。
【家族】「来年の就学に向けて、身の回りのことを自分でやれるようになってほしい」「登園前の支度で毎朝言い合いになるので、家庭でできる関わり方を知りたい」との希望が聞かれている。
総合的な支援の方針
1年程度を見通して、事業所としてどう関わるのかを書きます。ここは本人・家族・関係者が同じ絵を共有するための欄なので、事業所の中だけで完結しない視点を入れておきます。具体的には、家庭での生活、園や学校での様子、地域の場への参加、そして支援を見直し続ける姿勢です。
総合的な支援の方針
本人が見通しを持って行動できる環境を整え、自分でできたと感じられる場面を日常の中に増やしていきます。活動の流れを視覚的に示し、切り替えの前に予告を入れることで、落ち着いて次の行動に移れるよう支えます。
家庭には、事業所で有効だった関わり方を具体的にお伝えし、朝の支度など負担の大きい場面から一緒に整えていきます。通っている園とも様子を共有し、同年代の子どもと過ごす時間の中で関わりが広がるよう、園での関わり方についても相談しながら進めます。
支援の状況は定期的に振り返り、達成度に応じて目標と関わり方を見直します。
長期目標・短期目標
長期目標は概ね1年、短期目標は概ね6か月で目指す姿です。短期目標は、長期目標に一歩近づいた状態として書くと、両者の関係が読み手に伝わります。二つが独立した別々の目標になっている計画は、見直しのときに評価ができません。
長期目標と短期目標
【長期目標】身支度や片づけなど、日課の中の決まった動作を、大人の声かけが少ない状態で最後まで行える。
【短期目標】活動の終わりに、絵カードの提示を手がかりとして、使った道具を自分で所定の場所に戻せる。
支援目標|主語を子ども・家族にする
支援目標は、次のモニタリングの時点で、本人や家族がどうなっているかを書く欄です。ここで事業所を主語にしてしまうと、達成したかどうかを判断できません。〜を支援する、ではなく〜ができていると書くのが基本。
ただし、主語を子ども・家族にできない項目もある
主語を子ども・家族にするのは、あくまで基本の考え方。
移行支援と地域支援・地域連携については、支援方針の立て方や連携体制のとり方によって主語が事業所・関係機関・関係者になることもあり、柔軟に取り扱ってよいとされています。園との調整や情報共有のように、事業所が動くことそのものが支援である場面まで、無理に子どもを主語にする必要はありません。
支援目標の書き方(本人支援の場合)
手先の巧緻性を高めるための支援を行う。
主語が事業所になっており、何ができれば達成なのかが決まっていないため、振り返りのときに評価できません。
はさみを使って、直線を5cm程度、線から大きく外れずに切ることができる。
子どもが主語で、達成したかどうかを見て判断できます。数量や条件が入ると、職員間で認識がそろいます。
支援内容|事業所が実際にすることを書く
支援内容は、目標に向けて事業所が行う関わり・工夫・配慮です。本人支援については、ここで5領域とのつながりもあわせて示します。事務連絡が求めているのは5つの領域すべてとの関連づけで、ひとつの支援内容が複数の領域にまたがるなら、関係する領域をすべて挙げれば足ります。
一方、家族支援・移行支援・地域連携については、5領域との関連づけは求められていません。誰に、どのような働きかけを、どのくらいの頻度で行うのかを具体的に書きます。
支援内容(本人支援)
活動の始めに、その日の流れを3枚程度の絵カードで提示し、終わったカードを本人が裏返す形で進行を確認できるようにします。(関連:認知・行動/言語・コミュニケーション)
片づけの場面では、道具の置き場所に実物の写真を貼り、戻す先が一目で分かる環境を用意します。できた場面はその場で具体的に言葉にして伝えます。(関連:健康・生活/認知・行動)
2人組での制作活動を週1回設定し、道具の貸し借りが生じる場面をつくります。やりとりが始まった場面では職員が言葉を添え、必要に応じて仲立ちします。(関連:人間関係・社会性/言語・コミュニケーション)
本人支援・家族支援・移行支援・地域支援のうち、必ず書くのはどれか
こども家庭庁の事務連絡(令和6年5月20日)の別紙「個別支援計画の記載のポイント」では、次のように示されています。
「『本人支援』『家族支援』『移行支援』については必ず記載する。『地域支援・地域連携』については、必要に応じて記載することとするが、各事業所において積極的に取り組むことが望ましい。」
つまり地域支援・地域連携は、記載がなくても差し支えない一方で、取り組むこと自体は推奨されています。連携の実態があるのなら、書いておくほうが支援の全体像は伝わります。

家族支援
家族支援は必ず記載する項目です。保護者と連携する、とだけ書かれている計画をよく見かけますが、それでは何をするのかが分かりません。相談の機会、伝える内容、頻度まで具体化してください。
支援内容(家族支援)
月1回、送迎時とは別に15分程度の面談の時間を設け、家庭での様子を伺いながら、事業所で有効だった関わり方を具体的にお伝えします。
朝の支度について、写真を使った手順表を一緒に作成し、家庭で試した結果を次回の面談で振り返ります。
同じ年頃の子どもをもつ保護者同士が話せる機会として、事業所で開催する座談会(隔月)をご案内します。
移行支援
移行支援も必ず記載します。事業所での支援に閉じず、地域の中で同年代の子どもと過ごす場面をどう広げるかという視点で書く欄です。就学や併行通園を控えているなら、その準備も含めます。
支援内容(移行支援)
通園先の園と学期ごとに情報交換の機会を持ち、事業所で有効だった視覚的支援を園の生活の中でも取り入れられるよう相談します。
就学に向けて、保護者の同意のもと、就学先の見学に同行し、教室環境について気づいた点を整理してお伝えします。
なお、移行の視点を持った本人支援・家族支援を行う場合は、項目の欄を切り分けず、「本人支援」「家族支援」と「移行支援」を併記しても差し支えないとされています。無理に別々の取り組みを立てる必要はありません。
地域支援・地域連携
こちらは必要に応じて記載する項目です。医療機関、保健センター、学校、相談支援事業所など、関係機関との連携を書きます。移行支援の欄にすでに書いた内容であれば、重ねて書く必要はありません。記載は任意ですが、各事業所が積極的に取り組むことが望ましいとされている項目でもあります。なお、あくまで個別支援計画なので、その子ども・家族への支援にあたる取り組みを書く点に注意してください。
達成時期
計画は少なくとも6か月に1回以上見直すため、達成時期は最長でも6か月後までに収まります。すべてを6か月後に揃えるのではなく、1〜3か月で届きそうな目標には短い期間を設定しましょう。短い区切りを置くと、達成した実感を本人・家族と共有しやすくなります。
担当者・提供機関
主に関わる職員の氏名と職種を記載します。関係機関との連携を支援内容に位置づけているなら、その機関名も。担当が交代したあと、前任の氏名が残ったままになっていないかを、見直しのタイミングで確認してください。
留意事項
見落とされがちですが、実務上とても重要な欄です。加算の算定を想定している支援は、ここでその旨と頻度を書いておきます。計画に位置づけがないまま算定していると、後から根拠を示せません。
- 算定を想定している加算の種別と、想定する頻度(例:家族支援に関する加算を月1回程度)
- 別に計画の作成が必要な加算について、この個別支援計画との関係
- 家庭にお願いしたいこと、体調面や医療面での配慮
- 支援を進めるうえでの前提(送迎の条件、服薬、アレルギーなど)
優先順位
本人支援として挙げた取り組みについて、まず何から着手するかを示します。子どもと家族の困り感が強い順に並べるのが基本で、本人・家族と話し合いながら決められると理想的です。家族支援・移行支援・地域連携については、優先順位をつける必要はありません。
この章の根拠(出典)|項目ごとの書き方
こども家庭庁「個別支援計画の記載のポイント」<項目>(PDF/令和6年5月20日事務連絡 別紙1)
「本人支援」「家族支援」「移行支援」については必ず記載する。「地域支援・地域連携」については、必要に応じて記載することとするが、各事業所において積極的に取り組むことが望ましい。
到達目標については、主語はこども本人や家族となるよう記載することを基本とする。なお、「移行支援」及び「地域支援・地域連携」については、支援方針の立て方や連携体制のとり方によって、主語が事業所・関係機関・関係者等にもなりうるため、柔軟に取り扱うこと。
個別支援計画については、6か月に1回以上の見直しが求められているため、達成時期についても最長6か月後までとする。1〜3か月で達成する目標も積極的に検討していくこと。
支援内容に設定した取組が、加算の算定を想定している取組である場合には、算定する加算や頻度等について記載する(例:子育てサポート加算、家族支援加算、関係機関連携加算等)。
「家族支援」「移行支援」「地域支援・地域連携」については、優先順位の記載は不要である。
児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)(PDF)
支援内容については、「いつ」、「どこで」、「誰が」、「どのように」、「どのくらい」支援するかということが、児童発達支援計画において常に明確になっていることが必要である。
ここまでの文例を、毎回ゼロから書いていませんか
OHANA AI は、アセスメントの結果から個別支援計画書の下書きを自動で作成します。児発管の仕事は、その子に合っているかを判断して直すところに集中でき、1人あたりの作成時間を大きく短縮できます。機能・料金・導入の流れをまとめた資料を無料でお配りしています。
5領域を無理なく盛り込むコツと、領域別の文例
5領域の記載でつまずく原因は、ほとんどが順番の取り違えです。領域から目標を考えようとすると手が止まります。まず目の前の子どもの姿から支援内容を決め、後から領域を紐づける。この向きなら、無理のない計画になります。
アセスメントの内容を場面で書き出す
朝の会で席を立つ、制作で最後まで座っていられる。実際に見られた場面を、そのまま並べます。
取り組む場面を選び、支援内容に落とす
書き出した場面のうち、本人・家族の希望と優先順位を踏まえて取り組むものを選び、事業所がする関わりを決めます。
決めた支援内容に領域をラベルづけする
最後に、それぞれの支援内容がどの領域に関わるかを付けます。複数該当するなら、すべて挙げてください。
5領域すべてに触れられているかを確認する
事務連絡は5つの領域すべてとの関連づけを求めています。抜けている領域があれば、日々の支援の中にすでにある関わり(食事、移動、着替え、遊びなど)を拾い上げて位置づけ直してください。新しい活動を増やす必要はありません。
領域別の文例
以下は、それぞれの領域と結びつけやすい支援内容の書き方。自事業所の活動に置き換えてお使いください。
生活リズムと身辺自立に関する文例
着替えの手順を4枚の写真で示し、上から順に自分で確認しながら進められるようにします。できた工程には印をつけ、達成が目に見える形で残るようにします。
水分補給のタイミングを活動の区切りに固定し、時計と併せて提示することで、自分から水筒を取りに行けるよう促します。
姿勢・操作・感覚に関する文例
着座時に足底が床につく高さの椅子と足台を用意し、姿勢が崩れにくい環境を整えたうえで、机上の活動に取り組みます。
大きな音が苦手な場面では、事前に予告を行い、本人が希望したときに静かな場所へ移動できる選択肢を用意します。
見通し・注意・行動の調整に関する文例
活動の残り時間をタイマーで視覚的に示し、終了の2分前に予告を入れることで、切り替えに備えられるようにします。
手順が複数ある課題では、1工程ずつ提示し、終わったものを片づけてから次を出すことで、今やることが1つに絞られる状態をつくります。
意思の伝達に関する文例
要求の場面で、絵カードまたは指さしによって選べる選択肢を2つ用意し、本人が選んだ内容を職員が言葉にして返します。
活動の振り返りでは、楽しかった・難しかったを表情カードで選ぶ形を取り入れ、気持ちを伝える経験を重ねます。
他者との関わりに関する文例
2人で1つの道具を使う制作活動を週1回設定し、貸し借りのやりとりが自然に生じる場面をつくります。職員は必要に応じて言葉を添えます。
順番のある遊びでは、待つ位置を床のマークで示し、待てた場面をその場で具体的に言葉にして伝えます。
この章の根拠(出典)|5領域の示し方
こども家庭庁「個別支援計画の記載のポイント」◎本人支援(PDF/令和6年5月20日事務連絡 別紙1)
5領域との関連性については、5つの領域全てが関連付けられるよう記載すること。相互に関連する部分、重なる部分もあると考えられるため、5つの欄を設けて、個々に異なる目標を設定する必要はないが、各領域との関連性についての記載は必ず行うこと。
「家族支援」「移行支援」「地域支援・地域連携」については、家族や関係機関への具体的な働きかけや取組等について記載する。なお、これらの項目については5領域との関連性の記載は不要である。
5領域は、新しく足すものではない
毎日の活動の中には、すでに5領域すべてに関わる場面が含まれています。おやつの時間なら健康・生活と人間関係・社会性、移動の場面なら運動・感覚と認知・行動。
必要なのは活動を増やすことではなく、いま行っている支援を領域の言葉で説明できるようにしておくことです。
5領域の文例は、資料でもまとめてご覧いただけます。
ありがちな書き方と、その直し方
運営指導で指摘を受ける計画には、共通した書き方の癖があります。よく見かける4つを、直し方とあわせて挙げました。
① 抽象的で、達成の判断ができない
コミュニケーション能力の向上を図る。
どの場面の、どんな姿を指しているのかが決まっていません。職員によって解釈が変わり、モニタリングでも評価できません。
要求したい場面で、絵カードを職員に手渡して伝えることが、1日の活動の中で2回程度できる。
場面・手段・頻度が入っているため、達成したかどうかを見て判断できます。
② 誰にでも当てはまる文章になっている
一人ひとりに寄り添い、安心できる環境の中で成長を支援します。
理念としては正しいものの、どの子どもの計画にも貼り付けられる文章です。この子のための計画であることが伝わりません。
初めての活動に強い不安を示すため、事前に写真で内容を伝え、見学から参加できる段階を用意したうえで取り組みます。
この子のアセスメント結果に対応した、具体的な配慮が書かれています。
③ 保護者の希望をそのまま目標にしている
(意向欄)文字を書けるようになってほしい →(短期目標)ひらがなを書けるようになる。
意向は出発点ですが、そのまま目標にすると、発達の段階とかけ離れた計画になることがあります。アセスメント結果を挟む工程が抜けています。
(短期目標)鉛筆を3本の指で持ち、なぞり書きの線から大きく外れずに直線と曲線をなぞることができる。
希望の方向は保ちながら、いまの状態から届く範囲に目標を置いています。保護者にも、この段階を踏む理由を説明できます。
④ 支援内容が現場の実態と合っていない
毎日、個別に30分の課題学習を実施する。
職員配置から見て実施できない内容を書くと、記録との食い違いが生じます。計画どおりに支援していないと見られる原因になります。
週2回(火・木)、活動の後半に15分程度の個別課題の時間を設け、担当職員が対応します。
実施できる頻度で書かれているため、記録と計画が一致します。回数を増やしたい場合は、体制を整えてから見直します。
運営指導で指摘されやすいポイント
書類の中身以前に、手続きの抜けを指摘されるケースが多くあります。計画を書き上げた後、次の点を確認してください。
- 同意をいただいた日付と、支援を開始した日付の前後が逆になっていないか
- 保護者へ交付した記録に加え、相談支援事業所へ交付した記録が残っているか
- 個別支援会議を開催した記録(日時・出席者・検討内容)があるか
- 前回の計画からの見直しであることが分かるよう、モニタリングの記録と計画がつながっているか
- 有効期間が切れたまま支援が続いていないか(次回の作成時期を逆算して管理しているか)
- 計画に書いた支援内容が、日々のサービス提供記録の中に現れているか
- 加算の算定を行っている支援について、計画上の位置づけがあるか
- 児発管が不在の期間に、計画の作成や見直しが行われていないか
この章の根拠(出典)|未作成減算の判定
留意事項通知 (7)④ 通所支援計画等未作成減算(PDF/計画書の有無ではなく「一連の業務」で判定される根拠)
(一)児童発達支援管理責任者による指揮の下、通所支援計画等が作成されていないこと。/(二)指定通所基準等に規定する通所支援計画等の作成に係る一連の業務が適切に行われていないこと。
指定通所基準 第27条第10項(計画変更時の手続き)(見直しのときもアセスメント・会議・同意・交付をやり直す)
第二項から第七項までの規定は、第八項に規定する児童発達支援計画の変更について準用する。
期限の管理は、人の記憶に頼らない
個別支援計画に関する指摘で最も多いのは、内容の良し悪しではなく期限切れです。利用者が増えるほど、次の見直し時期は一人ひとり異なっていきます。
担当者の記憶や手書きの一覧で管理していると、繁忙期に必ずどこかで抜けます。期限が近づいたら自動で知らせが出る形にしておくことが、最も確実な減算対策になります。
見直し期限の自動通知で、期限切れによる減算を防げます。
モニタリングと見直し|計画を動かし続けるために
計画は、作った時点では仮説にすぎません。実際に支援してみて初めて、目標の高さや支援内容が適切だったかが分かります。少なくとも6か月に1回以上、達成状況を振り返り、必要に応じて計画を見直す。ここまでが一連です。
振り返りで確認したい4つのこと
- 達成できたか:支援目標に書いた状態に、どの程度届いたか
- なぜそうなったか:達成した場合も、していない場合も、要因を言葉にする
- 支援内容は適切だったか:実施できたか、実施したうえで効果があったか
- 意向に変化はないか:本人や家族の希望、家庭や園・学校の状況が変わっていないか
達成できなかった目標を、そのまま次の計画に書き写すのは避けてください。届かなかったのであれば、目標が高すぎたのか、支援内容が合っていなかったのか、実施できていなかったのか、いずれかの理由があります。その理由に応じて、目標か支援内容のどちらかを変えるのが見直し。
この章の根拠(出典)|モニタリング
児童発達支援管理責任者は、モニタリングに当たっては、通所給付決定保護者との連絡を継続的に行うこととし、特段の事情のない限り、次に定めるところにより行わなければならない。一 定期的に通所給付決定保護者及び障害児に面接すること。二 定期的にモニタリングの結果を記録すること。
児童発達支援計画は、概ね6か月に1回以上モニタリングを行うことになっているが、こどもの状態や家庭状況等に変化があった場合には、6か月を待たずしてモニタリングを行う必要がある。モニタリングは、目標達成度を評価して支援の効果を測定していくためのものであり、単に達成しているか達成していないかを評価するものではなく、提供した支援の客観的評価を行い、児童発達支援計画の見直しの必要性を判断する。
記録を集めるところから始めない
モニタリングの時期になってから半年分の記録を読み返すのは、現実的ではありません。日々の記録を書く段階で支援目標と結びつけて残しておけば、振り返りは短時間で終わります。
今日の活動ではなく、今日この目標に関してどうだったか。一言添えるだけでも、後の負担が大きく変わります。
作成の負担を減らす3つの工夫
個別支援計画の作成は、児発管の業務の中でも時間のかかる仕事です。書き方が分かっても、利用者が20人、30人と増えれば、作成そのものが追いつかなくなる。
① アセスメントの様式を5領域に対応させる
計画に5領域とのつながりを書くのであれば、アセスメントの段階から同じ区分で情報を集めておくのが近道。様式がばらばらだと、書くたびに頭の中で変換する手間が発生します。
② 事業所としての表現の型を持つ
職員ごとに書きぶりが違うと、質にばらつきが出ます。よく使う支援内容については、事業所として言い回しの型を用意しておきましょう。ただし、型をそのまま貼り付けると②のNG例そのもの。型は骨組みとして使い、その子の場面と条件を必ず足すという運用にしてください。
③ 期限管理と下書き作成を仕組みに任せる
見直し時期の管理と、白紙から書き起こす作業。この二つは、人が頑張るより仕組みで解決したほうが確実です。アセスメントの結果から計画の下書きが出てくれば、児発管の仕事は、その子に合っているかを判断して直すところに集中できます。具体的にどこまで自動化できるかは、機能の詳細ページにまとめています。
よくある質問
個別支援計画は誰が作成できますか。
児童発達支援管理責任者(児発管)が作成します。原案づくりや情報収集を他の職員が手伝うことは問題ありませんが、作成および見直しの責任は児発管が担います。児発管が不在の期間に作成・見直しが行われていると、指摘の対象になります。
個別支援計画は何か月ごとに見直せばよいですか。
少なくとも6か月に1回以上、モニタリングを行い、必要に応じて見直します。本人の状況が大きく変わった場合や、家族の意向に変化があった場合は、6か月を待たずに見直して構いません。
5領域は、すべてに目標を立てなければいけませんか。
目標を5つ立てる必要はありません。ただし関連づけのほうは5つの領域すべてについて行います。事務連絡は、5つの欄を設けて個々に異なる目標を設定する必要はないとしたうえで、各領域との関連性についての記載は必ず行うこと、としています。ひとつの支援内容が複数の領域にまたがるなら、関係する領域をすべて挙げれば足ります。
計画は保護者以外にも渡す必要がありますか。
同意を得た計画は、保護者に加えて、担当の指定障害児相談支援事業所にも交付します。交付した事実が分かるよう、日付を含めて記録を残してください。
保護者の同意は、口頭でも認められますか。押印は必要ですか。
省令が求めているのは「文書による同意」です。口頭だけでは要件を満たしません。一方で、署名そのものを求める条文はなく、押印も不要です(国の参考様式にも「押印廃止」と明記されています)。また、あらかじめ相手方の承諾を得れば、書面に代えて電磁的方法によることもできます。その場合は障害の特性に応じた配慮を行うことが条件です。
前年度と同じ内容の計画を使い回してもよいですか。
前回のモニタリング結果を踏まえずに内容をそのまま引き継ぐことは適切ではありません。達成できた目標は次の段階へ、届かなかった目標は理由に応じて目標または支援内容を変える、という形で見直します。
個別支援計画の作成を、AIが下書きします
OHANA AI は、児童発達支援・放課後等デイサービス向けに、アセスメントから個別支援計画書の作成、モニタリング、加算に必要な書類までを支援するサービスです。5領域との関連づけを含んだ計画の下書きを自動で作成し、見直し期限は自動で通知します。お使いの請求ソフトはそのままでご利用いただけます。
この記事が参考にした資料(一次資料)
児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)(第27条が個別支援計画の条文。放デイは第71条で準用)
費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について(留意事項通知)(PDF/減算率と判定基準)
個別支援計画の記載のポイント(令和6年5月20日事務連絡 別紙1/こども家庭庁)(PDF/本記事の項目別の書き方は、主にこの資料に沿っています)
個別支援計画(参考記載例)/個別支援計画別表(記入例)(こども家庭庁)(PDF/本記事に掲載した様式の画像の出典)
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について(こども家庭庁)(改定事項の概要、Q&A、通知・事務連絡、様式の入口)
執筆:OHANA AI 編集部(株式会社Cocowa)
最終更新
本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。様式や運用の細部は自治体によって異なる場合があります。最終的な取扱いは、指定を受けている自治体の通知および窓口の指示をご確認ください。