判定されているのは、個別支援計画書の有無ではない
個別支援計画未作成減算(通所支援計画等未作成減算)の要件は、留意事項通知に2つ書かれています。ひとつは児発管の指揮の下で計画が作成されていないこと。もうひとつが、計画の作成に係る一連の業務が適切に行われていないことです。
実務で問題になるのは、ほぼ後者です。計画書そのものは完成していて、ファイルにも綴じてある。それでも、途中の手続きがひとつ抜けていれば対象になります。
計画書が完成していても減算になる例
・保護者の同意は得たが、相談支援事業所へ交付していない
・アセスメントを電話と連絡帳だけで済ませ、面接をしていない
・6か月を過ぎてもモニタリングの記録が残っていない
・担当者会議を開かずに原案をそのまま計画として確定させた
いずれも計画書は存在します。それでも一連の業務は揃っていません。
この章の根拠(出典)
費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について(留意事項通知)(7)④(PDF)
(一) 児童発達支援管理責任者による指揮の下、通所支援計画等が作成されていないこと。/(二) 指定通所基準等に規定する通所支援計画等の作成に係る一連の業務が適切に行われていないこと。
個別支援計画の作成で揃えるべき6つの業務
一連の業務は、指定通所基準 第27条に順番どおり書かれています。放課後等デイサービスは第71条、保育所等訪問支援は第79条で準用されるため、内容は共通です。
アセスメント(面接が必須)
保護者と障害児本人に面接します。第27条第3項の義務であり、電話やメールだけでは足りません。面接の趣旨を説明して理解を得ることまでが条文に含まれています。なお、実施期限の数値を定めた規定はありません。
計画の原案を作る
児発管が作成します。作成に関する業務を担当させるのは管理者の義務(第27条第1項)。ここを他職種だけで完結させると、要件のひとつ目に触れます。
担当者会議で原案に意見を求める
支援にあたる担当者を招集し、原案について意見を求めます(第27条第5項)。テレビ電話装置等の活用も条文で認められています。保育所等訪問支援では、訪問先の園や学校の担当者も招集の対象。
説明して、文書で同意を得る
保護者と本人に説明し、文書により同意を得ます(第27条第6項)。押印は不要です。児発GLの参考様式も押印欄が廃止されています。
保護者と相談支援事業所の両方へ交付する
交付先は2か所です(第27条第7項)。片方だけでは足りません。ここが最も漏れやすいところ。
6か月に1回以上、モニタリングと見直しをする
実施状況を把握し、少なくとも6か月に1回以上、計画を見直します(第27条第8項)。モニタリングでは定期的に面接し、その結果を記録することが第9項で求められています。
計画を変更するときも、同じ手順をやり直す
第27条第10項により、計画を変更する場合は第2項から第7項までが準用されます。つまりアセスメントの面接から担当者会議、文書同意、交付までをもう一度たどることになります。
変更後の計画だけ差し替えて同意も交付もしていない、という状態は減算の対象になり得ます。
交付を証明できる記録の残し方
交付は義務ですが、交付したこと自体を残す様式は国が示していません。運営指導では交付の事実を示せるかどうかが問われるため、次の4点を1行で残しておくと足ります。
2026年4月8日/個別支援計画(2026年4月1日作成分)を交付/保護者へ手渡し(利用時に本人同伴)/相談支援事業所〇〇へは同日郵送
ポイントは、保護者と相談支援事業所の両方について、日付と手段を書き分けておくことです。
この章の根拠(出典)
指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第27条第3項(アセスメント)(放課後等デイサービスは第71条、保育所等訪問支援は第79条で準用)
児童発達支援管理責任者は、アセスメントに当たっては、通所給付決定保護者及び障害児に面接しなければならない。この場合において、児童発達支援管理責任者は、面接の趣旨を通所給付決定保護者及び障害児に対して十分に説明し、理解を得なければならない。
児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成に当たっては、通所給付決定保護者及び障害児に対し、当該児童発達支援計画について説明し、文書によりその同意を得なければならない。
児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画を作成した際には、当該児童発達支援計画を通所給付決定保護者及び当該通所給付決定保護者に対して指定障害児相談支援(略)を提供する者に交付しなければならない。
児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成後、児童発達支援計画の実施状況の把握(略)を行うとともに、障害児について解決すべき課題を把握し、少なくとも六月に一回以上、児童発達支援計画の見直しを行い、必要に応じて、当該児童発達支援計画の変更を行うものとする。
個別支援計画未作成減算の減算率と期間の数え方
個別支援計画未作成減算の適用
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 減算率(3か月未満) | 所定単位数の70/100(30%減) |
| 減算率(連続3か月以上) | 所定単位数の50/100(50%減) |
| 適用する単位 | 該当する障害児ごと |
| 効く期間 | 該当する月から、解消した月の前月まで |
| 対象サービス | 児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援 |
ここでいう所定単位数は、各種加算を足す前の基本報酬です。加算を含めた合計に減算率を掛けるのではありません。
適用が子どもごとである点も見落とされがちです。40人が通う事業所で1人分の交付が漏れていれば、減るのはその1人分。事業所全体の報酬が一律に下がるわけではありません。ただし裏を返せば、漏れが3人いれば3人分が並行して減っていきます。
他の減算と重なったとき
複数の減算事由に該当する場合は、それぞれの減算割合を乗じます(留意事項通知(13))。通所系で押さえるべき減算は8種類あり、減算率も起算する月も揃っていません。横断した一覧は放課後等デイサービス・児童発達支援の減算一覧と減算率にまとめています。
例えば未作成減算とBCP未策定減算が重なれば、70/100 と 99/100 の両方が基本報酬に掛かります。片方だけが適用されるのではありません。
この章の根拠(出典)
(一)減算が適用される月から3月未満の月については、所定単位数の100分の70とする。/(二)減算が適用される月から連続して3月以上の月については、所定単位数の100分の50とする。
計画の期限とモニタリングの時期は、仕組みで管理できます。
一連の業務6つのうち、とくに抜けやすい3つ
交付
同意を得た計画を保護者に渡し、控えをファイルに綴じた。
交付先は保護者と指定障害児相談支援事業所の2か所です。片方だけでは第27条第7項を満たしません。
保護者に手渡した当日に、相談支援事業所へも郵送。両方について日付と手段を記録に残した。
交付の事実を後から示せます。運営指導で問われるのは、渡したかどうかを説明できるかどうかです。
モニタリング
半年ごとに保護者と面談し、様子は職員間で共有している。
第27条第9項は、定期的な面接に加えてモニタリングの結果を記録することを求めています。共有だけでは記録が残りません。
面談のたびに、目標ごとの実施状況と、計画を見直す必要があるかどうかの判断を書いて残した。
見直しを行った事実と、変更の要否を判断した過程の両方が示せます。
同意
説明して口頭で了承をもらい、次回の来所時に署名をもらう予定にした。
同意は文書で得ることが要件です。支援を先に始めてしまうと、その期間は一連の業務が揃っていない状態になります。
説明した日に文書で同意を得てから支援を開始。押印は求めていない。
押印を求める条文はありません。参考様式も押印欄が廃止されています。
よくある質問
計画書は作ってあります。それでも減算になることがありますか。
あります。留意事項通知が見ているのは、計画の作成に係る一連の業務が適切に行われているかどうかです。面接によるアセスメント、担当者会議、文書同意、保護者と相談支援事業所への交付、6か月に1回以上のモニタリングのいずれかが欠けていれば、計画書があっても対象になり得ます。
減算はいつからいつまで効きますか。
該当する月から、解消した月の前月までです。3か月未満は所定単位数の70/100、連続して3か月以上になると50/100になります。
事業所全体の報酬が下がるのですか。
いいえ。適用は該当する障害児ごとです。1人分の手続きが欠けていれば、その1人分の基本報酬が減ります。
保護者の押印は必要ですか。
必要ありません。第27条第6項が求めているのは文書による同意で、署名や押印そのものを求める条文はありません。児童発達支援ガイドラインの参考様式も押印欄が廃止されています。
計画を変更するときも同じ手続きが要りますか。
要ります。第27条第10項により、変更の場合は第2項から第7項までが準用されます。アセスメントの面接から担当者会議、文書同意、交付までをもう一度たどることになります。
手続きの抜けを、システム側で止める
OHANA AI は、児童発達支援・放課後等デイサービス向けに、アセスメントから個別支援計画書の作成、モニタリングまでを支援するサービスです。同意と交付の記録、6か月ごとの見直し時期を画面上で追えるため、一連の業務のどこが未了なのかが一目で分かります。機能・料金・導入までの流れをまとめた資料を無料でお配りしています。
この記事が参考にした資料(一次資料)
指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)(第27条(児童発達支援計画の作成等))
児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)(PDF)
執筆:OHANA AI 編集部(株式会社Cocowa)
最終更新
本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。様式や運用の細部は自治体によって異なる場合があります。最終的な取扱いは、指定を受けている自治体の通知および窓口の指示をご確認ください。