運営指導公開日 最終更新

放課後等デイサービス・児童発達支援の減算一覧と減算率

支援プログラムは公表した。業務継続計画も作った。それでも、次の運営指導で何を見られるのかがはっきりしない——減算は種類ごとの解説はあっても、8種類を横に並べて比べられる資料がほとんどありません。 減算率も、起算する月も、利用者全員に効くのか子ども一人ずつに効くのかも違うため、1つずつ読んでいっても全体像が組み上がらないままになります。

この記事は、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援で押さえるべき減算8種類を1枚の表に横断させた入口です。減算率、適用単位、起算する月、サービス種別ごとの対象可否を並べたうえで、減算率をどこに掛けるのか、2つ以上が重なったらどうなるのかまで扱います。各論は個別の記事へ送ります。

通所系の減算8種類と減算率の一覧

児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援で押さえておく減算は、次の8種類です。違うのは減算率だけではありません。誰に対して効くのか、いつの月から効くのか、自分のサービス種別が対象かどうか。この4つを同時に見ないと、自分の事業所のリスクは測れません。

通所系の減算8種類|減算率・適用単位・起算する月・サービス別の対象可否

減算の名前減算率適用単位起算児童発達支援放課後等デイサービス保育所等訪問支援
支援プログラム未公表減算所定単位数の85/100(15%減)障害児全員届出がない月〜解消月対象外
自己評価結果等未公表減算85/100(15%減)障害児全員届出がない月〜解消月○(令和7年4月〜)
虐待防止措置未実施減算1%減利用者全員事実発生の翌月〜改善月
身体拘束廃止未実施減算1%減(障害児入所支援は10%)利用者全員事実発生の翌月〜改善月
BCP未策定減算1%減(障害児入所支援は3%)利用者全員事実発生の翌月〜解消月
情報公表未報告減算5%減(障害児入所支援は10%)利用者全員未報告の翌月〜解消月
児発管欠如減算70/100、連続5か月以上で50/100障害児全員欠如の翌々月〜解消月○(人員欠如で対象になるのは児発管のみ)
個別支援計画未作成減算70/100、連続3か月以上で50/100該当する障害児ごと該当月〜解消月の前月
補足

委員会・研修・業務継続計画の要件そのものは、3サービスとも同じ

虐待防止委員会、身体拘束適正化検討委員会、業務継続計画の研修と訓練。これらの要件そのものは、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援で同一です。指定通所基準 第44条・第45条・第38条の2が、第71条(放課後等デイサービス)と第79条(保育所等訪問支援)でそのまま準用されるため、開催頻度も、法人単位での開催の可否も、両委員会の一体運営も、テレビ電話装置等の活用も、記録の5年保存も変わりません。

差が出るのは、この3つの外側にある論点です。ひとつは支援プログラムで、第79条は第26条の2を準用していないため、保育所等訪問支援には作成・公表の義務がなく、未公表減算の対象にもなりません。

ふたつめは自己評価です。保育所等訪問支援は令和7年4月1日から対象になり、訪問先施設評価が加わります(第79条の読替え)。居宅訪問型児童発達支援は、第71条の14が第26条第6項・第7項を準用から除いているため対象外です。

みっつめが人員欠如。保育所等訪問支援で人員欠如減算の対象になるのは児発管の欠如だけで、児童指導員・保育士の欠如減算は設けられていません。

減算率の幅は1%減から50%減まで。ただし金額の重さは減算率だけでは決まりません。1%減でも利用者全員に、解消するまで毎月効きます。逆に個別支援計画未作成減算の70/100は、手続きが欠けた子どもの分だけ。どちらが重いかは、事業所の規模と該当人数で入れ替わります。

起算する月は、減算ごとに違う

表の起算の列は、8種類で3つのパターンに分かれます。虐待防止措置未実施・身体拘束廃止未実施・BCP未策定・情報公表未報告の4つは、事実が生じた月の翌月から。児発管欠如は翌々月から。支援プログラム未公表と自己評価結果等未公表は、届出がされていない月そのものから効きます。

横軸に「事実が生じた月・翌月・翌々月・その後も毎月・解消した月・解消の翌月」を並べ、通所系の減算8種類が効いている期間を帯で示した図。支援プログラム未公表減算(85/100)・自己評価結果等未公表減算(85/100)・個別支援計画未作成減算(70/100)は事実が生じた月から帯が始まる。虐待防止措置未実施減算(1%減)・身体拘束廃止未実施減算(1%減)・BCP未策定減算(1%減)・情報公表未報告減算(5%減)は翌月から、児発管欠如減算(70/100)は翌々月から始まる。帯の終わりは、個別支援計画未作成減算だけが解消した月の前月で、残る7種類は解消した月まで続く。児発管欠如には、欠員が生じても翌月末日までに人員基準を満たせば減算にならない猶予がある。
帯のある月が減算の対象。同じ月に事実が生じても、帯が始まる月は減算ごとに違う。

個別支援計画未作成減算は、該当した月から始まり、解消した月の前月で止まります。解消した月は減りません。ここだけ終わり方が他と違うので、返戻の計算をするときに注意が要ります。

起算が翌々月になっている児発管欠如には、1か月ぶんの猶予があります。欠員が生じても、翌月末日までに人員基準を満たせば減算になりません。詳しくは児発管欠如減算の記事で扱います。

注意

運営指導で発見された月からではなく、事実が生じた月まで遡る

BCP未策定減算について、共通Q&A VOL.1 問15 は、行政機関が運営指導等で不適切な取り扱いを発見した時点ではなく、基準を満たさない事実が生じた時点まで遡及して減算を適用するとしています。

半年前から災害用の業務継続計画が無かったのであれば、遡って半年分が対象になり得るということ。指摘された月から直せば済む話ではありません。

この章の根拠(出典)

減算率をどこに掛けるか、重なったらどうなるか

所定単位数は、各種加算を足す前の基本報酬

表の減算率はすべて所定単位数に対するものです。この所定単位数が指しているのは、各種加算を足す前の基本報酬。加算を含めた単位数の合計に減算率を掛けるのではありません。

家族支援加算や個別サポート加算、専門的支援実施加算を算定している月に1%減が効いても、減るのは基本報酬の部分だけ。加算はそのまま残ります。逆に言えば、加算を積み上げている事業所ほど、請求額の合計に対する減算の割合は小さく見えます。それでも基本報酬に対しては表のとおりの率で効いています。

複数の減算に該当したら、それぞれの減算割合を乗じる

1つの月に2つ以上の減算事由が重なることは珍しくありません。虐待防止委員会の開催記録が1年以上ないまま、災害用の業務継続計画も未策定、という状態はあり得ます。このとき適用されるのは、率の大きいほうだけではありません。それぞれの減算割合を乗じます(留意事項通知(13))。

例えば支援プログラム未公表減算(85/100)とBCP未策定減算(99/100)が同じ月に重なれば、基本報酬に 85/100 と 99/100 の両方が掛かります。3つ重なれば3つとも掛かる。ひとつ解消しても、残りは効き続けます。

注意

例外は、定員超過利用減算と人員欠如減算が重なったときだけ

それぞれの減算割合を乗じるという原則には、例外がひとつあります。定員超過利用と人員欠如の双方に該当する場合は、減算単位数が大きいほうのみを適用します。

この例外は、定員超過利用と人員欠如の組み合わせに限られたもの。上の表にある8種類が重なったときに、大きいほうだけになるわけではありません。

この章の根拠(出典)

自分の事業所が今どの減算に該当しうるかを確かめる

8種類のうち5種類は、年1回以上という頻度の要件か、都道府県への届出・報告で決まります。つまり書類の出来映えではなく、期限内に実施した記録が残っているかが判定材料。次のリストは、その記録がどこにあるかを1行ずつ確かめるためのものです。

自己点検

8種類の減算について、何を見れば該当しないと言えるか

1. 支援プログラム未公表減算 … ホームページに掲載した日ではなく、公表方法と公表内容を都道府県へ届け出た控えが手元にあるか。公表しただけでは減算は止まりません。

2. 自己評価結果等未公表減算 … 直近のおおむね1年以内に、従業者評価・保護者評価・事業所全体の自己評価・改善の内容の4つをまとめ、保護者に示したうえで公表し、都道府県へ届け出たか。

3. 虐待防止措置未実施減算 … 虐待防止委員会の開催記録が過去1年以内にあるか、虐待の防止のための研修の実施記録が過去1年以内にあるか、虐待防止担当者を配置しているか。3つとも揃って初めて減算を免れます。

4. 身体拘束廃止未実施減算 … 身体拘束適正化検討委員会の開催記録が過去1年以内にあるか、身体拘束等の適正化のための指針を整備しているか、研修の実施記録が過去1年以内にあるか、身体拘束等を行った場合の記録があるか。この4つ。

5. BCP未策定減算 … 感染症用と災害用の業務継続計画が両方そろっているか。片方だけの状態は、未策定と同じ扱いになります。

6. 情報公表未報告減算 … 障害福祉サービス等情報公表システムの登録内容を、直近の会計年度終了後に報告・更新したか。都道府県から報告するよう指導を受けたまま放置していないか。

7. 児発管欠如減算 … 今月、児童発達支援管理責任者が配置されているか。欠員が生じた月があるなら、その翌月末日までに補充できたか。

8. 個別支援計画未作成減算 … 計画書がファイルにあるかではなく、子ども一人ずつについて、面接によるアセスメント・担当者会議・文書による同意・保護者と相談支援事業所の両方への交付・6か月に1回以上のモニタリングが揃っているか。

この8行のうち、日付を見るだけで判定できるものがあります。虐待防止委員会と身体拘束適正化検討委員会をいつ開いたか、それぞれの研修をいつ実施したか。1年に1回以上という基準は、前回の日付さえ控えてあれば守れます。裏返すと、担当者が替わった年に前回の日付ごと引き継がれず抜けます。

ただし3番から5番は、日付だけでは終わりません。3番には虐待防止担当者を配置しているかどうかが、4番には身体拘束等の適正化のための指針と拘束の記録があるかどうかが、それぞれ日付とは別に入っています。5番の業務継続計画にいたっては日付の話ですらなく、感染症編と災害編が両方そろっているかどうかで決まります。

8番だけは性質が違います。判定されるのは書類の有無ではなく、作成に係る一連の業務が揃っているかどうか。計画書が完成していても減算になる場面は個別支援計画未作成減算の記事で詳しく扱っています。

一覧を見ただけでは避けられない、3つの間違い

支援プログラムと自己評価は、公表では止まらない

ありがちな思い違い

ホームページに支援プログラムを掲載した。これで15%減は避けられたと考えた。

減算の引き金は公表そのものではなく、都道府県への届出です。留意事項通知は、届出がされていない月から解消月まで障害児全員を減算すると書いています。掲載済みでも届出が出ていなければ減算は続きます。

実際の扱い

掲載したうえで、公表方法と公表内容を都道府県へ届け出て、受理された控えを保管した。

止まるのは届出が出た月から。自己評価結果等未公表減算も同じ構造なので、2つセットで届出の控えを管理します。

業務継続計画は、片方だけでは未策定と同じ

ありがちな対応

感染症用の業務継続計画を整備した。災害用は来年度に回した。

共通Q&A VOL.1 問14 は、感染症若しくは災害のいずれか又は両方が未策定の場合に減算の対象となるとしています。片方でも欠ければ1%減。しかも事実が生じた月まで遡ります。

こうしておく

感染症と災害の両方を策定し、計画に従って必要な措置を講じた。

周知・研修・訓練・定期的な見直しは減算の直接の要件ではありませんが、運営基準上の義務として別に残ります。

減算が重なったときの計算

ありがちな思い違い

2つの減算に該当したので、減算率の大きいほうだけが引かれるものとして資金繰りを組んだ。

複数の減算事由に該当する場合は、それぞれの減算割合を乗じます。大きいほうだけになるのは、定員超過利用と人員欠如の双方に該当した場合に限られます。

実際の扱い

該当する減算をすべて洗い出し、基本報酬にそれぞれの減算割合を順に掛けて見込んだ。

掛ける相手が加算前の基本報酬である点も外せません。加算込みの合計に掛けると、減額幅を過大に見積もることになります。

ポイント

減算を止めるために、結局どこを管理し続けるのか

管理する対象は3つに整理できます。ひとつは年1回以上の開催・実施の日付(虐待防止委員会、身体拘束適正化検討委員会、それぞれの研修)。ふたつめは都道府県への届出・報告の控え(支援プログラム、自己評価、情報公表システム)。みっつめは子ども一人ずつの手続きの進み具合(個別支援計画の一連の業務)。

前の2つは年単位で回ってくるため、担当者が交代した年に抜けます。3つめは毎月動くため、人数が増えるほど目視では追えなくなります。

よくある質問

Q.

減算はいくつあるのですか。

A.

児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援で押さえておくのは8種類です。支援プログラム未公表、自己評価結果等未公表、虐待防止措置未実施、身体拘束廃止未実施、BCP未策定、情報公表未報告、児発管欠如、個別支援計画未作成。減算率は1%減から50%減まで幅があります。

Q.

減算率は、加算を含めた請求額に掛かるのですか。

A.

いいえ。減算率を掛ける所定単位数は、各種加算を足す前の基本報酬です。加算を含めた単位数の合計に掛けるのではありません。

Q.

2つの減算に同時に該当したら、大きいほうだけが適用されますか。

A.

両方が適用されます。複数の減算事由に該当する場合は、それぞれの減算割合を乗じることになっています。大きいほうだけになるのは、定員超過利用と人員欠如の双方に該当した場合に限られます。

Q.

保育所等訪問支援でも、同じ減算が適用されますか。

A.

大半は同じですが、3点だけ違います。支援プログラム未公表減算は対象外。自己評価結果等未公表減算は令和7年4月から対象になり、訪問先施設評価が加わります。そして人員欠如で対象になるのは児発管の欠如だけで、児童指導員・保育士の欠如減算はありません。

Q.

減算はいつの月から効きはじめますか。

A.

減算ごとに違います。虐待防止措置未実施・身体拘束廃止未実施・BCP未策定・情報公表未報告は事実が生じた月の翌月から。児発管欠如は翌々月からで、翌月末日までに補充できれば減算になりません。支援プログラムと自己評価は届出がされていない月から、個別支援計画未作成は該当した月から効きます。

Q.

運営指導で指摘された月から減算になるのですか。

A.

BCP未策定減算については、発見した時点ではなく基準を満たさない事実が生じた時点まで遡って適用すると共通Q&A VOL.1 問15 が示しています。指摘を受けてから直せば済むという扱いではありません。

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この記事が参考にした資料(一次資料)

執筆:OHANA AI 編集部(株式会社Cocowa)

最終更新

本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。様式や運用の細部は自治体によって異なる場合があります。最終的な取扱いは、指定を受けている自治体の通知および窓口の指示をご確認ください。

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