情報公表未報告減算は5%減。ただし未報告になった瞬間に減るわけではない
情報公表未報告減算の減算率は、所定単位数の5%減です(障害児入所支援は10%減)。適用の単位は利用者全員。効く期間は未報告の翌月から、報告して解消した月まで。所定単位数は、各種加算を足す前の基本報酬です。
ただし、情報公表システムへの報告が出ていない状態が、そのまま翌月の減算に直結するわけではありません。共通Q&A VOL.1 問19は、未報告が指定更新や運営指導等の際に確認され、都道府県等が報告するよう指導したにもかかわらず事業所が報告を行わない場合に減算を適用する、としています。他の減算と構造が違うのは、この点です。
指導が来るまで放置してよい、という意味ではない
減算の引き金が指導後の不報告であることと、報告しなくてよいことは別の話です。報告は児童福祉法上の義務で、未報告の状態は指定更新や運営指導等の際に確認されます。
確認されてから慌てて着手すると、前年度分だけでなく積み残した年度分の情報をまとめて整理することになります。しかも指定更新の直前は、他の書類の準備と重なる時期。
さらに、未報告であること自体が運営指導での指摘事項です。減算にならなかったから問題なし、とはなりません。
5%という減算率の位置づけと、報告先・報告の時期
情報公表未報告減算の適用
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 減算率 | 所定単位数の5%減(障害児入所支援は10%減) |
| 適用する単位 | 利用者全員 |
| 効く期間 | 未報告の翌月から、解消した月まで |
| 報告先 | 事業所所在地を管轄する都道府県知事(児童福祉法第33条の18第1項) |
| 報告の方法 | 実務上は障害福祉サービス等情報公表システム(WAMNET)を経由する |
| 対象サービス | 児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援 |
率の大きさは、他の減算と並べると分かりやすい。虐待防止措置未実施・身体拘束廃止未実施・業務継続計画(BCP)未策定はいずれも1%減で、情報公表未報告減算はその5倍。それでいて、やるべきことはシステムからの報告だけです。減算の全体像は放課後等デイサービス・児童発達支援の減算一覧と減算率を参照してください。
通所系サービスの減算率(体制・届出で決まるもの。人員欠如と計画未作成を除く)
| 減算 | 減算率 |
|---|---|
| 支援プログラム未公表減算 | 15%減(所定単位数の85/100) |
| 自己評価結果等未公表減算 | 15%減(所定単位数の85/100) |
| 情報公表未報告減算 | 5%減 |
| 虐待防止措置未実施減算 | 1%減 |
| 身体拘束廃止未実施減算 | 1%減 |
| 業務継続計画(BCP)未策定減算 | 1%減 |
報告先は都道府県知事。システムはそのための経路
報告の相手は、事業所の所在地を管轄する都道府県知事です(児童福祉法第33条の18第1項)。障害福祉サービス等情報公表システムは、その報告を行うための経路です。画面に入力して終わり、ではなく都道府県への報告そのものである、と捉えると位置づけを取り違えません。
報告の機会は3つ。実質は年1回の更新になる
児童福祉法施行規則 第36条の30の2が定める報告の時期は、次の3つ。
- 支援の提供を開始しようとするとき(新規に事業所を開設したとき)
- 都道府県知事が定めるとき
- 毎会計年度終了後
3つ目があるため、運用としては年に1回の更新が続く形です。開設の年だけ報告して終わり、ではありません。実際の締切と提出の方法は2つ目にあたるため、所在地の都道府県が出す案内で毎年確認してください。
この章の根拠(出典)
令和6年度報酬改定等に関するQ&A VOL.1(共通) 問19(PDF)
具体的には、関連通知の別添に掲げる必須の報告項目について未報告であることが、指定更新や運営指導等の際に確認され、都道府県等が報告するよう指導したにも関わらず、事業所が報告を行わない場合に減算を適用することとする。ただし、事業所が報告することができないやむを得ない事情(災害等)があった場合には、減算の対象としないこととして差し支えない。
児童福祉法 第33条の18第1項(報告先を事業所所在地を管轄する都道府県知事と定めている)
児童福祉法施行規則 第36条の30の2(報告の時期を、支援の提供を開始しようとするとき/都道府県知事が定めるとき/毎会計年度終了後と定めている)
障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年度)(PDF。減算率の確認に使用)
年1回の報告を落とさないための、年間の段取り
毎月の記録や6か月ごとのモニタリングと違い、この報告は年に1回しか出番がありません。頻度が低い手続きほど、担当が決まっていないと誰も触らないまま年度が流れます。会計年度が終わったところから逆算して、次の順で置いておくと落ちにくい。
年度が終わる前に、担当者を1人決める
管理者が指名して、事業所の年間予定表に名前ごと書き込みます。報告は事業所単位の手続きなので、法人本部が持つのか事業所が持つのかも決めておきます。ここが空欄のままだと、指定更新の年まで誰も気づかない。
会計年度が終わったら、前年度に変わった事項を洗い出す
人員体制、営業日や営業時間、送迎の実施、設備など、前年度の途中で変わったものを一覧にします。変更届を出した案件を並べると漏れにくい。報告する項目そのものは、都道府県の案内と情報公表システムの入力画面が示します。
所在地の都道府県が出す案内で、今年度の期限と方法を確認する
報告の時期には都道府県知事が定めるときが含まれるため、締切は自治体側が決めます。前年度と同じ時期とは限らない。案内が届く窓口(法人のメールアドレス、システムの通知)も確認しておきます。
情報公表システムから報告し、報告した日を控える
まず入力し、報告まで完了させる。控えを残す義務が法令にあるわけではありませんが、報告日と報告した人を1行残しておくと、指定更新や運営指導のときに前年度分が済んでいることをすぐ示せます。
指定更新・運営指導の前に、報告済みかどうかを見る
未報告が確認されるのはこの2つの場面です。準備リストの先頭に情報公表システムの報告状況を入れておくと、指導を受けてから動く展開を避けられる。
年間予定表に1行だけ足しておく
毎年4月/障害福祉サービス等情報公表システムの年次報告(前会計年度終了後の報告)/担当: 管理者(副担当: 児発管)
確認するもの: 前年度中に提出した変更届の一覧/人員体制・営業時間・送迎の実施状況の現況/県の案内で今年度の期限と提出方法
完了したら記録: 2026年5月12日 情報公表システムより報告済(担当: 管理者)
書き方の要点は、担当者名を先に決めて書いてしまうことです。手続き名だけを書いた予定表は、誰も自分の仕事だと思わないまま過ぎていきます。
報告した内容に変更が生じたとき
年度の途中で人員体制が変わった場合の扱いは、報告の時期をどう読むかで決まります。省令が挙げている機会は前記の3つ。そのうち都道府県知事が定めるときの中身は自治体側が決めるため、年度途中の変更をその都度報告させるかどうかも、所在地の都道府県の案内で確認してください。
年度途中の変更は、次の報告の機会で反映する
都道府県から個別の求めがなければ、年度途中の変更は毎会計年度終了後の報告でまとめて反映する形です。だからこそ、変わった時点でメモを残しておく段取り(上記の2番目)が効きます。
1年前の体制変更を年度末に思い出すのは難しく、手がかりは変更届の控えだけ。
年に1回しかない手続きほど、担当と期限を残す場所が要ります。
間違えやすい点|他の減算と構造が違う
減算が始まる時点の読み方
未報告のまま数か月たった。その月にさかのぼって5%減されると思い、遡及分を自主返還する計算を始めた。
共通Q&A VOL.1 問19は、都道府県等が報告するよう指導したにもかかわらず報告しない場合に減算を適用するとしています。未報告というだけで自動的に減算が始まる書き方ではありません。業務継続計画(BCP)未策定減算のように基準を満たさない事実が生じた時点まで遡る減算とは、組み立てが別です。
未報告であることを指摘された時点で、まず報告を済ませる。並行して、自治体の担当課に取り扱いを確認する。
要件が指導後の不報告である以上、指導を受けた段階で報告してしまえば、その先に進みません。判断が分かれる部分は所管の都道府県に確認するのが早道です。
報告と公表の混同
自己評価結果と支援プログラムをホームページに載せた。情報公表もこれで済んでいるはずだ。
自己評価結果等未公表減算・支援プログラム未公表減算と、情報公表未報告減算は別の減算です。前者は公表したうえで都道府県へ届け出るところまでが要件。情報公表未報告減算のほうは、障害福祉サービス等情報公表システムを経由した都道府県知事への報告を見ています。
ホームページでの公表・都道府県への届出・情報公表システムからの報告を、別々の項目として年間予定表に並べる。
3つとも年1回まわってきて、すべて未実施だと減算率が積み上がります。同じ欄にまとめると、どれが済んでどれが残っているか分からなくなる。
減算が重なったときは、それぞれの減算割合を乗じる
複数の減算事由に該当する場合は、それぞれの減算割合を基本報酬に乗じます(留意事項通知(13))。片方だけが適用されるのではありません。
情報公表未報告減算と自己評価結果等未公表減算が重なれば、5%減と15%減の両方が掛かります。年1回の手続きをまとめて落とすと、影響は足し算ではなく掛け算。
災害等のやむを得ない事情があった場合
共通Q&A VOL.1 問19は、事業所が報告することができないやむを得ない事情(災害等)があった場合には、減算の対象としないこととして差し支えない、としています。
被災して報告できなかった、という状況まで減算で追いかける扱いにはなっていません。ただし判断するのは都道府県です。事情が生じた時点で所管の担当課へ連絡を入れ、経緯を記録に残しておきたいところです。
よくある質問
情報公表未報告減算の減算率はいくつですか。
所定単位数の5%減です(障害児入所支援は10%減)。利用者全員が対象で、未報告の翌月から解消した月まで続きます。所定単位数は、各種加算を足す前の基本報酬です。
報告していない月があると、すぐに減算されますか。
共通Q&A VOL.1 問19は、未報告が指定更新や運営指導等の際に確認され、都道府県等が報告するよう指導したにもかかわらず事業所が報告を行わない場合に減算を適用する、としています。未報告というだけで自動的に始まる書き方ではありません。ただし報告自体は児童福祉法上の義務であり、未報告の状態は運営指導での指摘の対象です。
報告はどこへ出すのですか。
事業所の所在地を管轄する都道府県知事です(児童福祉法第33条の18第1項)。実務上は障害福祉サービス等情報公表システム(WAMNET)を経由します。
報告はいつ行うのですか。
児童福祉法施行規則 第36条の30の2が挙げているのは、支援の提供を開始しようとするとき、都道府県知事が定めるとき、毎会計年度終了後の3つです。3つ目があるため、運用としては年1回の更新が続く形です。実際の締切は都道府県が定めるので、所在地の自治体の案内で確認してください。
災害で報告できませんでした。減算されますか。
共通Q&A VOL.1 問19に、報告することができないやむを得ない事情(災害等)があった場合には減算の対象としないこととして差し支えない、とあります。判断するのは都道府県ですので、事情が生じた時点で所管の担当課に連絡し、経緯を記録に残してください。
保育所等訪問支援も対象ですか。
対象です。児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援のいずれにも適用されます。支援プログラム未公表減算のように訪問支援だけ対象外、という区別はありません。
年に1回しか来ない手続きを、担当と期限のある仕事に変える
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この記事が参考にした資料(一次資料)
令和6年度報酬改定等に関するQ&A VOL.1(共通)(PDF。問19が情報公表未報告減算の考え方)
執筆:OHANA AI 編集部(株式会社Cocowa)
最終更新
本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。様式や運用の細部は自治体によって異なる場合があります。最終的な取扱いは、指定を受けている自治体の通知および窓口の指示をご確認ください。