自己評価結果等未公表減算を止めるのは、公表ではなく届出
自己評価結果等未公表減算の判定は2段構えです。まず指定通所基準 第26条第7項が、おおむね1年に1回以上、自己評価・保護者評価・改善の内容を保護者に示したうえでインターネット等で公表することを義務づけています。そのうえで減算が発動するのは、公表方法と公表内容を都道府県に届け出ていない月。ホームページに載せた時点ではまだ終わっていません。
自己評価結果等未公表減算の適用
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 減算率 | 所定単位数の85/100(15%減) |
| 適用する単位 | 障害児全員 |
| 効く期間 | 届出がされていない月から、解消するに至った月まで |
| 実施と公表の頻度 | おおむね一年に一回以上 |
| 対象サービス | 児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援(令和7年4月1日から) |
| 対象外のサービス | 居宅訪問型児童発達支援 |
所定単位数は各種加算を足す前の基本報酬です。加算まで含めた合計に掛けるのではありません。そして適用の単位は障害児全員。手続きが欠けた子どもの分だけが減る個別支援計画未作成減算と違い、1件の届出漏れが在籍者全員の請求に効きます。
届出が遅れた月だけでは終わらない
減算が効くのは、届出がされていない月から解消するに至った月までです。届け出た月で止まるのではなく、その月も含めて減算されます。
年1回の手続きを1か月忘れただけのつもりでも、気づかずに数か月放置すれば、その全期間の基本報酬が、障害児全員分15%減ります。
減算全体の中での位置づけは放課後等デイサービス・児童発達支援の減算一覧と減算率にまとめました。通所系の減算8種類のうち、これより率が大きいのは児発管欠如減算と個別支援計画未作成減算の70/100だけです。
根拠と、支援プログラム未公表減算との違い
自己評価結果等未公表減算と支援プログラム未公表減算は、どちらも所定単位数の85/100。減算率が同じで、届出が引き金である点も同じなので、セットで語られがちです。ただし根拠条文も、くり返す頻度も、対象サービスも別。片方を出したから両方済んだ、という誤解が最も多い事故。
同じ15%減でも別制度
| 比べる観点 | 自己評価結果等未公表減算 | 支援プログラム未公表減算 |
|---|---|---|
| 減算率 | 所定単位数の85/100 | 所定単位数の85/100 |
| 根拠条文 | 指定通所基準 第26条第7項 | 指定通所基準 第26条の2 |
| 実施・公表の頻度 | おおむね一年に一回以上 | 頻度を定めた明示規定は確認できていない |
| くり返しの要否 | 毎年くり返す | 原則1回。内容を変えたら再度公表・届出 |
| 公表するもの | 自己評価・保護者評価・改善の内容 | 5領域と関連づけた支援プログラム本体 |
| 児童発達支援・放課後等デイサービス | 対象 | 対象 |
| 保育所等訪問支援 | 令和7年4月1日から対象(訪問先施設評価が加わる) | 対象外 |
| 居宅訪問型児童発達支援 | 対象外 | 対象 |
保育所等訪問支援と居宅訪問型児童発達支援で、対象が真逆になっている点に注意してください。保育所等訪問支援は第79条の読替えにより自己評価の対象で、しかも従業者評価・保護者評価に加えて訪問先施設評価という第三の軸が要ります。一方の居宅訪問型児童発達支援は、第71条の14が第26条第6項・第7項を準用から外しているため、自己評価の公表義務そのものがありません。支援プログラム側の対象範囲は支援プログラム未公表減算|15%減を止めるのは公表ではなく届出で扱っています。
情報公表制度とも、第三者評価とも別
名前が似ている制度が、もう2つ。障害福祉サービス等情報公表制度と、社会福祉法に基づく第三者評価です。大阪府は情報公表制度とは別制度だと注意喚起し、東京都の事務連絡は第三者評価と基準省令上の自己評価が別だと明記。WAM NET に載せた、第三者評価を受審した。どちらも自己評価結果等の届出の代わりにはなりません。
自治体によって期限の決め方が2種類ある
固定日型 … 大阪府は毎年4月1日から5月8日までに郵送で提出。届出書に加えて、公表している「自己評価総括表」「自己評価表」「保護者評価表」の添付を求めています(保育所等訪問支援は訪問先事業所の評価表も)。なお大阪府所管の事業所については、指定日から1年間は減算を適用しない取扱いがあります。
前回公表からの起算型 … 東京都は、新規指定の事業所は指定日から1年以内に公表し、公表の実施時期から1か月以内に届出。前年度に公表・届出をした事業所は、前回の公表の実施時期から1年以内に公表し、届出は前回の公表の実施時期から1年1か月以内。
後者の型は、事業所ごとに期日がばらばら。前回いつ公表したかを記録していないと、次の期限を自分で計算できません。
この章の根拠(出典)
指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第26条第7項(放課後等デイサービスは第71条、保育所等訪問支援は第79条の読替えで適用。居宅訪問型児童発達支援は第71条の14が第26条第6項・第7項を準用から除外)
指定児童発達支援事業者は、おおむね一年に一回以上、自己評価及び保護者評価並びに前項に規定する改善の内容を、保護者に示すとともに、インターネットの利用その他の方法により公表しなければならない。
大阪府「自己評価結果等の公表及び大阪府への届出について」(同ページに「障害福祉サービス等情報公表制度」とは別制度である旨の注意書きがある)
指定通所基準(児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準)の改正により、放課後等デイサービスにおいては平成29年4月から、児童発達支援においては平成30年4月から、保育所等訪問支援については令和6年4月からおおむね1年に1回以上、自己評価及び保護者評価を行い、その結果と改善内容を公表することが義務付けられています。また、平成30年度報酬改定により、自己評価結果等未公表減算が創設され、自己評価結果等の公表方法及び公表内容について都道府県に届出がない場合、適用されます。(平成31年4月以降、保育所等訪問支援については令和7年4月以降)
東京都事務連絡(令和2年1月29日)提出期限について(同通知に「第三者評価は社会福祉法に基づくものであり、基準省令に定められている自己評価とは別です。」との記述がある)
(1)新規に指定を受けた事業所 指定日から1年以内に公表を行うこと。なお、都への届出は、公表の実施時期から1か月以内に行うこと。(2)前年度に自己評価結果を公表し、届出を行った事業所 前回の公表の実施時期から1年以内に公表を行うこと。なお、都への届出は、前回の公表の実施時期から1年1か月以内に行うこと。
自己評価の公表までの流れと、公表文の書き方
自己評価は、いきなり事業所全体の評価を書くものではありません。従業者一人ひとりの評価と保護者の評価を先に集め、それを材料に事業所全体を評価して、改善を決める。進め方はこの順番。
従業者評価
職員が個々に評価表へ回答。児童発達支援ガイドラインと放課後等デイサービスガイドラインの別紙1が従業者向け評価実施シート。保育所等訪問支援も同じく別紙1です。
保護者評価(アンケート)
保護者へ評価表を配り、回答を回収。国の様式は各ガイドラインの別紙2(保護者向け評価実施シート)。回答欄は、はい・どちらともいえない・いいえ・わからない の4択と、自由記述のご意見欄で構成されています。
事業所全体の自己評価
従業者評価と保護者評価の結果を持ち寄り、全従業者による共通理解の下で事業所の強みと弱みを分析します。集計するだけの作業ではありません。
改善の検討
弱みとして出たものについて、何を、いつまでに、誰が変えるのかを決める段階。第26条第7項が公表を求めている改善の内容とは、ここで決めたことです。
保護者に示し、インターネット等で公表
保護者へ示すことと、広く公表することの両方が条文上の義務です。公表の実施時期を必ず記録しておいてください。この日付が次の期限の起算点。
都道府県への届出
公表方法と公表内容を、指定を受けた自治体へ届け出ます。ここまで終えて初めて減算を免れます。提出物は自治体によって異なり、届出書1枚で済むところもあれば、評価表の添付を求めるところもあります。
公表文の文例(放課後等デイサービス)
国の事務連絡は、集計結果を公表することが趣旨ではないとはっきり書いています。求められているのは、強みや弱みの分析と、改善へ向けた取組。別紙の集計表だけを貼ったページは、条文が求める改善の内容を欠いていることになります。次の文例は、集計表に添えて公表する本文の見本です。
令和8年度 事業所全体の自己評価結果(放課後等デイサービスあおぞら)
【実施の概要】令和8年5月に従業者評価(回答14名/在籍14名)、同年5月から6月に保護者評価(回答21名/配布26名)を実施し、6月18日の全体会議で全従業者により結果を共有したうえで、事業所全体の自己評価を行いました。
【強みとして確認できた点】保護者評価のうち、活動プログラムが固定化されないよう工夫されているかという項目で、はいの回答が最も多くなりました。従業者評価でも、5領域と個別支援計画の目標を結びつけた活動設計ができているという評価が一致しています。令和7年度に導入した月次の活動振り返り会が定着し、同じ活動の繰り返しを避けられていることが理由と分析しています。
【弱みとして課題が残った点】保護者評価で最も評価が低かったのは、支援内容や子どもの様子について保護者と話し合う機会があるかという項目でした。どちらともいえない・いいえの回答が合わせて9名。ご意見欄には、送迎時に短く話すだけで日々の様子が分かりにくい、個別支援計画の説明以外に相談の場がない、という趣旨の記載が複数ありました。従業者評価でも、保護者との連携に関する項目の評価が他より低く、双方の認識が一致しています。原因は、面談の機会を個別支援計画の作成と見直しの時期に限定しており、それ以外の月に相談の入口を用意していなかったことにあると分析しました。
【改善に向けた取組】①令和8年9月から、個別支援計画の時期以外に年2回、希望制の保護者面談(1回20分程度)を設けます。担当は児童発達支援管理責任者と各担当職員、実施状況は毎月の全体会議で確認。②送迎時の口頭連絡に依存しないよう、令和8年10月から支援記録の要約を週1回、連絡ツールで保護者へ共有します。担当は各担当職員。③上記2点の効果は、令和9年度の保護者評価の同一項目で確認し、改善が見られない場合は面談の回数と方法を見直します。
【前年度の取組の結果】令和7年度の自己評価で課題とした避難訓練への保護者参加については、年1回の合同訓練を実施し、保護者評価の該当項目で前年度より評価が上がりました。令和9年度も継続。
この文例が集計表と違うのは4点。どの項目が低かったのかという事実、なぜそうなったのかという分析、誰がいつまでに何をするのかという取組、前年度に決めた取組がどうなったかという結果。前年度分を書けるのは2年目以降ですが、毎年くり返す制度である以上、ここが積み上がる形が本来の姿です。
公表文に必ず残しておく1行
公表の実施時期(年月日)を、公表ページ自体に書いておいてください。
東京都のように前回の公表の実施時期を起算点にする自治体では、この日付が次回の届出期限を決めます。ページの更新日だけでは、後から起算点を証明しにくくなります。
年1回くり返す手続きは、前回の実施日から次の期限を逆算できる形で残しておく。
自己評価結果等未公表減算で間違えやすい点
自己評価結果の公表の中身
国の別紙4(保護者評価集計シート)と別紙5(事業者用自己評価シート)をPDFにして、ホームページの自己評価結果のページに貼った。
自己評価事務連絡は、はい・いいえの集計結果を公表することが趣旨ではないと明言しています。第26条第7項が公表を求めているのは、自己評価と保護者評価に加えて改善の内容。集計表だけでは改善の内容が欠けています。
集計シートに加えて、強み・弱みの分析と、改善の取組(内容・担当・期限)、前年度の取組の結果を本文として掲載した。
事務連絡が求める、分析と改善の取組を進めながら質の向上を図るという趣旨に沿います。運営指導で内容を問われたときも、何をどう決めたかを示せます。
都道府県への届出
自己評価の結果をホームページに掲載し、更新日も入れた。公表は済んだので手続きは完了とした。
減算の引き金は公表ではなく、公表方法と公表内容の都道府県への届出です。掲載しただけの月は、届出がされていない月として減算の対象になり得ます。
公表した日を記録し、その日から自治体の定める期間内に届出書を提出。提出の控えを公表ページの情報と一緒に保管した。
届出済みであることと、次回の起算点となる公表の実施時期の両方を、後から証明できます。
支援プログラムとの取り違え
昨年度に支援プログラムの公表と届出を済ませたので、今年度も同じ体制のまま特に届出はしなかった。
支援プログラムには頻度を定めた明示規定が確認できておらず、内容を変えなければ再届出は生じません。一方の自己評価は第26条第7項でおおむね一年に一回以上と定められており、毎年くり返す必要があります。同じ15%減でも別制度です。
支援プログラムは内容変更時の再公表・再届出として管理し、自己評価は前回公表日を起点に毎年の期限を立てた。
2つの手続きを1つのチェック欄でまとめて管理すると、片方だけ出して安心する事故が起きます。防ぐには、管理の単位を分けておくこと。
保護者アンケートの実施頻度に、単独の規定は確認できていない
年に何回アンケートを取るべきかを定めた規定は、一次資料の範囲では確認できませんでした。存在しない可能性が高いという意味ではなく、この記事が根拠として使える資料の中には無いということです。
明文があるのは第26条第7項の公表の頻度、つまりおおむね一年に一回以上のほう。公表するには保護者評価の結果が要るため、アンケートもその周期に紐づく運用と理解されます。
自治体が独自に頻度を示している場合があります。指定を受けた自治体の案内を確認してください。
この章の根拠(出典)
障害児通所支援事業所における事業所全体の自己評価の流れについて(令和6年7月4日事務連絡)別添 ステップ④(PDF)
自己評価結果については、「はい」「いいえ」の集計結果を公表することが趣旨ではなく、自己評価の機会を通じて、全従業者による共通理解の下で、事業所の強みや弱み等の分析や、課題の改善やさらなる充実に向けた取組を進めていきながら、事業所の質の向上を図っていく点が重要である。
児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)別紙1〜5(別紙1 従業者向け評価実施シート/別紙2 保護者向け評価実施シート/別紙3 自己評価総括表/別紙4 保護者評価集計シート/別紙5 事業者用自己評価シート。保育所等訪問支援は別紙3に訪問先施設向け、別紙6に訪問施設先評価集計シートが加わる)
「はい」「どちらともいえない」「いいえ」「わからない」のいずれかに〇を記入していただくとともに、「ご意見」についてもご記入ください。
よくある質問
ホームページに自己評価の結果を載せました。それでも減算になりますか。
なり得ます。減算の直接の引き金は、公表方法と公表内容を都道府県に届け出ていないことです。掲載は条文上の義務を果たす行為ですが、届出は別に必要。届出がされていない月から解消するに至った月まで、障害児全員について所定単位数の85/100になります。
支援プログラムの届出を出しているので、自己評価の届出も済んでいますか。
別の手続きです。根拠条文が第26条の2と第26条第7項で異なり、自己評価はおおむね一年に一回以上くり返す必要があります。支援プログラムは頻度を定めた明示規定が確認できておらず、内容を変えたときに再度公表・届出をする建て付けです。減算率は同じ15%減ですが、制度は別と考えてください。
集計表を公表すれば要件を満たしますか。
足りない可能性があります。第26条第7項が公表を求めているのは、自己評価と保護者評価に加えて改善の内容です。国の事務連絡も、はい・いいえの集計結果を公表することが趣旨ではなく、強みや弱み等の分析と、課題の改善へ向けた取組を進めることが重要だとしています。集計表に分析と改善の取組を添えてください。
保育所等訪問支援も対象ですか。
令和7年4月1日から対象です。第79条の読替えにより自己評価の義務が及び、従業者評価・保護者評価に加えて訪問先施設評価が必要になります。なお支援プログラム未公表減算のほうは、保育所等訪問支援は対象外です。
居宅訪問型児童発達支援はどうなりますか。
対象外です。第71条の14が、第26条第6項および第7項を準用の対象から除外しているためです。ただし支援プログラム未公表減算のほうは対象になります。2つの減算で対象範囲が逆になっている点に注意してください。
保護者アンケートは年に何回必要ですか。
実施頻度を単独で定めた規定は、一次資料の範囲では確認できていません。明文があるのは公表の頻度で、第26条第7項のおおむね一年に一回以上です。公表には保護者評価の結果が必要になるため、その周期に紐づく運用と理解されます。自治体が独自に示している場合があるため、指定を受けた自治体の案内を確認してください。
年に1回の手続きを、前回の実施日から自動で追いかける
OHANA AI は、児童発達支援・放課後等デイサービス向けに、アセスメントから個別支援計画書の作成、モニタリング、加算に必要な書類までを支援するサービスです。自己評価のように年1回くり返す手続きは、前回いつ公表したかを残しておかないと次の期限が立ちません。日々の記録と書類を1か所にまとめておくことが、期限管理の土台になります。機能・料金・導入までの流れをまとめた資料を無料でお配りしています。
この記事が参考にした資料(一次資料)
指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)(第26条第7項(自己評価等の公表)、第71条・第71条の14・第79条(準用規定))
児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)(PDF。別紙1〜5に評価表と公表用シートが収録されている)
障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年度)(PDF。減算率の確認に使用)
執筆:OHANA AI 編集部(株式会社Cocowa)
最終更新
本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。様式や運用の細部は自治体によって異なる場合があります。最終的な取扱いは、指定を受けている自治体の通知および窓口の指示をご確認ください。